地域防災力・避難所の環境の向上について

台風,地震,火山の噴火など,日本は災害大国であります。昨年も7月豪雨や台風21号によって神戸市でも大きな被害が発生しています。また,今後30年以内に70~80%の確率で発生し,最悪の場合,死者が32万人以上に達するとされている南海トラフ地震も危惧されております。
 災害に対応するためにはハード面の対策ももちろん重要なんですが,全てを防ぎ切ることはできません。前の阪神・淡路大震災でも明らかになったとおり,多発的大規模な災害は公助を当てにできないことから,地域防災力というソフト面の対策が非常に重要だと私は感じております。
 神戸市は阪神・淡路大震災の教訓から,防災福祉コミュニティ事業に取り組み,訓練の支援や市民防災リーダーの養成,近年は地域おたすけガイドの作成や統括防災リーダーの養成など,新たな取り組みも進めていると聞いております。しかし,こういった取り組みが進んでいる中で,充実した取り組みができている地域もあれば,まだ行われていない地域もあり,取り組みに地域格差があると私は感じております。
 地域によっての防災力にばらつきがないように,行政がリーダーシップをさらに発揮していただいて,取り組みが不十分な地域に対しては,必要な底上げ,支援を行うことが喫緊の最重要課題であると考えます。そのあたりの見解もお伺いしたいと思います。

 それと,地域の防災についてですが,あれからもう24年たちます。もし今,大きな地震が起こってしまったら,私たちはまた体育館での不自由で不便,不清潔な生活を強いられることになってしまうのではないでしょうか。
 24年前と今と,どれだけの初動の差ができたのか。今から研修をしている,そして30年に訓練,26年から底上げ対策をしている,マネジメント研修をする,地域の防コミの方々が年に1回研修してるみたいなことは私も聞いておりますが──神戸市全体が本当に悲しい経験をしたんです,24年前。
 その教訓を無駄にすることがあってはいけないんです。今すぐ,あしたでもすぐ,もし津波や大きな地震がないとは言えないんです。そこですぐ,体の御不自由な方ですとか,高齢の方ですとか,すぐ助けるようなシステムって,今できているんですかということを聞いてます。そのために,1つ,防災士の地域とのひもづけを提案いたします。
 防災士とは,兵庫県が5カ月ほどかけて養成し,試験により認定し,神戸市だけでも600人ほどいらっしゃると思います。即戦力となり得るものですが,市ではそれ以前から市民防災リーダーなど似通った制度がありますから,市が進める防災福祉コミュニティと余り親和性はなく,ほとんどが連携されていないようです。これはまさに行政の縦割りの弊害で,せっかくの防災の知識,技術を持った人が活躍できていないのではないでしょうか。
 地域によって必要な物資や人材など,そのニーズは多様です。地域コミュニティーに防災士がそれぞれ入り,要支援者をピックアップし,誰が援助するのか担当を決めたり,優先順位のラインを決めて,体育館で長時間過ごすのが難しい年配の方々や,幼児を抱えた女性などの数を把握し,土地を離れたくなく仮設に入りたい方や体育館でそのまま頑張っていただける方,そういったあらかじめ数も把握できると思います。今それができていますでしょうか。
 また,事前に要援護者の救護に当たる人員,そして地震や津波に弱い地域においては,市営住宅の入居優先順位を決め,地域のコミュニティごと移住する。市外でも県外でもよいという方々には,そこは市と県としっかりと連携をしていただいて,住居を用意しておくというような──それはもう1年ごとでいいんです。流動的なことで構いません。絶対あけておくことはできないと思っております。
 でも,コミュニティーごと移動するというのはすごく大切なことで,地域の方々の支えにもなりますし,行政の方々からも把握できやすいということになると思います。
 そういったことが,防災士が入ることによって即戦力となって,早い期間にそういう手だてができていくと思います。
 今,年に1度の研修ですとか,いろんな大学生の方々がしていただくのは本当にありがたいことだと思っておりますが,そういったコミュニティーの方々をあと何年かけたらそういった支援に移っていただくような手段ができるですとか,いつになったら,そのいつをめどに完璧に防災のとき避難ができるというような計画ってあるんでしょうか。とりあえずそのところをお聞きしたいと思います。

副市長(油井洋明君) この前の阪神・淡路大震災から24年が経過して,完璧な対応になってるかという話ですけれども,この阪神・淡路大震災を教訓としまして,公助だけじゃなくて,やっぱり共助が必要ということで,先ほども答弁させていただきましたけども,その大震災を教訓に防災福祉コミュニティをつくって,これは全国的にも非常に評価されたと思ってます。そういう形で,地域のほうで共助をやってると。
 ただ,それが議員の御指摘のようにばらつきがあるということもありますので,そういったばらつきをなくす努力は今からしていくということです。
 それから,防災士の活用というお話もございましたが,防災士の資格については,阪神・淡路大震災で倒壊家屋であるとか,家屋の下敷きになった人が近所の住民や家族に救出されたことを教訓に創設されたもので,これは日本防災士機構が実施してございます。
 いろんな手続あって防災士の資格を得るということなんですけれども,平成27年5月からNPO法人の兵庫県防災士会が防コミサポーターとして登録をしていただいておりまして,防災福祉コミュニティが実施する防災訓練などに支援していただいているという状況もございます。
 平成30年度,兵庫県防災士会に支援をいただく訓練の中には,北区の北五葉小学校で実施された防災フェスティバルであるとか,北区の大原・桂木地区の要援護者訓練など,訓練計画の計画段階から支援をしていただいてる訓練もございます。
 いつまでということですけれども,当然,完璧というのがどこにあるかというのは非常に難しい話ですけれども,今後ともそういう共助が充実するように,消防団員であるとか,消防職員のOBはもとより,御指摘のあった防災士など,防災に関する知識や技能を持った人材を有効に活用を図ることで,また防災福祉コミュニティと連携を深めて,できるだけ早く防災力の向上を図ってまいりたいというふうに考えてございます。

さとう 
 体制ができるのを災害は待ってはくれないと思いますので,ぜひ,即戦力となる人材を,その防コミでも地域でも,まず入れていただいて,その地域の問題点を早く救い上げて,そこにどれだけ何が要るのか。そして要援助者に対しての割り当てとか,全ての人が車を使ってはいけないということでもありませんので,どなたがこの方をこの車ですぐ助けていく。そういったことを系統立てて,対策を一刻も早く立てれるような動きになってもらえるとありがたいなと思います。
 きょうやあした地震が起こったって,恐らくまた同じことを繰り返し,それでは阪神・淡路大震災があった神戸として,私は恥ずかしいと思いますし,残念なことだと思います。なので,今後,その防災士との連携も念頭に入れていただいて,しっかりと早急な手だてをお願いしたいと思っております。

副市長(油井洋明君) 私のほうから,地域防災力の向上につきまして答弁をさせていただきます。
 神戸市では,阪神・淡路大震災を教訓にしまして地域防災力の向上のため,防災福祉コミュニティ事業を平成7年度から実施をしてございます。市内全域で結成が完了してございまして,現在,192地区で活動していただいているという状況でございます。
 活動状況につきましては,平成30年度は,合計としまして1,511回。全ての防災福祉コミュニティで訓練や研修等を実施しているところでございます。
 従来から,防災福祉コミュニティの活動の支援としまして,消防署員の地区担当制による支援,それから防災知識を有する団体であるとか,また工夫した防災活動を実施している団体を──防災市民リーダーの養成とか,活動経費の助成を実施しているというところでございます。
 ただ,御指摘のとおり,活動回数の少ない,参加者が少ないといった地域もございまして,その活動状況に地域差が生じていることは認識しているところでございます。そういったこともありまして,そのような取り組みの不十分な地域の底上げや支援につきまして,学識経験者や防災福祉コミュニティ関係者を委員とします防災福祉コミュニティ事業の推進に関する検討会の中で検討を行いました。その中で,人材育成の難しさであるとか,訓練参加者や訓練内容の固定化といった課題が上がってきたわけです。
 これらの課題解決に向けまして,平成26年度から地域の底上げ対策といたしまして,地域の中心となって防災活動を牽引する人材育成のために,防災マネジメント研修を実施してございます。防災マネジメント研修は,新規養成コースに今年度から新たに実践体験コース,それから上級コースを加えまして,受講者の習得している防災知識のレベルに合わせた研修を実施することにしてございます。
 また,地域の支援策としまして,訓練参加者,訓練内容の固定化を解消するために,防災に関する専門的知識を有する団体であるとか,工夫した防災活動を実施している団体を消防局で登録しまして,地域が防災支援をしてほしい団体を選択しまして,地域活動を支援する制度を運用してございます。
 例えば,神戸学院大学の防災女子というのがあるんですけれども,そこでは非常食のアレンジ料理を提案しまして,防災啓発を図る取り組みを行っております。地域が目新しい訓練を取り入れることによって,さまざまな世代が訓練に参加しやすい環境づくりにつながっているというふうに考えてございます。
 今後は,地域のニーズに沿った支援や研修をより一層充実させることで,防災力の地域差を解消し,さらなる地域防災力の向上に努めてまいりたいというふうに考えてございます。

さとう
 避難場所の環境改善についてもお伺いしたいと思います。
 今,第1次避難所では,大体小・中学校の体育館ということであると思います。だけどその体育館でも,今,ろくな備蓄がありません。どこの学校でも少しのお水とクラッカーなど,全員に行き渡らない毛布程度,もう本当に何十年たっても変わっていないんです。
 その中で,緊急時はある程度やむを得ないとは思うんですが,ベースが本当そういった体育館,間仕切りもありません。プライバシーも守られず,温かい食事をとることもできません。特に,女性や高齢者に長時間避難してもらうのには非常に厳しい環境であり,避難場所で体調を崩されることが懸念されますが,その環境がありますので,避難をしてこない人も出てきます。
 実際につい最近の熊本の震災においても,車中泊を選んでしまった妊婦が感染から胎児を死亡させてしまうという残念な事件も起こっております。妊産婦の方の避難受け入れに関しては,維新として,以前,受け入れ先の拡充などをお願いいたしましたが,その後どうなったでしょうか。ふえましたでしょうか。お伺いしたいと思います。

副市長(油井洋明君) 避難場所の環境改善について答弁させていただきます。
 避難所は,みずから居住の場所を確保することが困難な被災住民を一時的に滞在させるための施設ということでございまして,必要な安全性であるとか良好な居住性の確保,また食料その他生活関連物資の配布など,避難の生活環境の整備に必要な措置を講じるように努めることというふうになってございます。
 発災後は,避難所運営の段階に応じて重要度が変わってくるわけなんですけれども,それらを整理して,適切に対応することが必要ということで,必要に応じて,例えば,畳であるとか,間仕切りであるとか,冷暖房,そういった設備を整備して,生活環境の改善を講じることとしておるわけでございます。
 その中で,神戸市の地域防災計画においては,高齢者を初め障害者,特に配慮すべき方にはできるだけ条件のよい場所に避難をさせる,そういう配慮,また,男女双方の視点からプライバシーの確保とか,着がえ場所やトイレとか,また物資の確保に配慮することを定めてございます。
 また,昨年の災害のときには,非常に暑いときに体育館でということで,異常高温対策として令和2年度を目途に避難所となる中学校の体育館におきまして,部分空調の整備を行うとともに,避難所に指定されている全ての小・中学校におきまして,避難場所として使用する教室のうち,少なくとも1室は空調を整備するということでございます。
 このほか,いろんな取り組みをしていかないけませんけれども,避難所となる学校については,防災資材として更衣室テントを整備したり,また災害発生時には事業者と結ぶ災害時における簡易ベッド等の調達に関する協定もございまして,そういった段ボール製のベッドであるとか,間仕切りの物資を流通備蓄として調達しまして,特に配慮が必要な方についてはプライバシーの配慮に努めたいというふうに思ってございます。
 あと,食料についてもそうなんですけれども,今後とも避難所生活の向上のために,資機材であるとか,そういう食事についても流通備蓄等の活用に取り組みまして,弱い方に配慮したような環境改善を図ってまいりたいというふうに考えてございます。

さとう 
 問題は,24年たってもこのような状態というのが本当に問題だと思います。災害は本当に待ってもらえないということを念頭に置いていただいて,しっかりと妊産婦に関しては,看護師や助産師との連携や神戸市看護大学など,あらゆる手段で不安な状況になるであろうと思われる妊産婦のサポート体制を充実されるように,当事者の立場に立っての御尽力をお願いしたいと思います。もし当局が全員妊産婦さんなら,もうさっさと解決していることだと思っております。
 質問なんですが,夜間や休日などに不測の大規模災害が発生した際には,どれだけ迅速に職員が参集して,災害の対応に当たれるか,そういったことをお聞きしたいと思っております。中心的な役割を担う課長級以上の職員の現在の市内居住状況についてもお伺いしたいと思います。

副市長(油井洋明君) 予測不能な災害発生時に迅速な初動体制を構築するために,課長級以上の職員については早期参集は非常に重要やというふうに考えてございます。現在,神戸市の課長級職員の7割以上は市内に居住をしてございます。先日も神戸新聞に載ってましたけども,周辺の他都市と比べても高い割合ではないかというふうに考えてございます。

さとう 
 また,職員の方々など──かなりの人数の方が神戸市職員さんだということをお伺いしてるんですけれども,憲法では居住や移転の自由は保障されております。ですが,防災の観点からも,職員の市内居住を推奨することは合理的な理由があると考えますが,見解を伺いたいと思います。

副市長(油井洋明君) 居住地の選択につきましては,個々人の判断に委ねざるを得ないため,職員それぞれの事情を考えれば,一律に市内居住を要件とするということまでは難しいと考えてございます。ただやっぱり,初動体制というのは非常に重要ですので,全市の初動体制の構築・確保に努めてまいりたいというふうに考えてございます。