自己肯定感を育てる教育について

令和2年決算特別委員会第3分科会〔元年度決算〕

全国民が心を痛めました目黒の虐待事件がありました。二審判決後に母親が,私は余りにも無知だった,これから社会の仕組みなどを勉強したいと語ったといいます。この言葉からも,社会システムについての知識がなかったことが聞いてとれます。本当はこの辺りのことも義務教育で教えることが非常に重要だと思っております。そして,何よりも彼女は自己肯定感がとても低くて,それに付け込まれ,あらがえなかったという経緯がありました。


自己肯定感を育てる教育について

お伺いいたします。先日,第3次教育振興基本計画が策定されましたが,その案のときに,市民から募集した意見の中で──計画の指標にもなっております,自分の在り方を積極的に評価し,自らの価値や存在意義を肯定できる自己肯定感は,教育現場において非常に重要であると感じております。しかし,その中,新・こうべ教育プランの案の時点で,いじめに関する子供への教育を推進すべきとの意見に,神戸市の考え方として,自己有用感を先に上げていたことは非常に残念に思いました。もちろん人の役に立つことは本人にとってもよいことではあるんですが,それでは役に立てない,または自分は役に立ちにくいと感じている子にはどう影響するでしょうか。そして,教員が自分の自己肯定感を大切に指導するクラスでは,子供たちが明るく健全に育ち,校長が教員の自己肯定感を大切にする学校では明るく前向きな職場づくりにもつながり,ひいては子供たちにもよい影響が生じます。
 例えば,失敗した子供や教員にかける言葉を批判的なものから前向きなものにするなど,心の持ち方1つで簡単に始めることができて,前向きな言葉を使い続けていくことで,周囲も自分も変わっていくことができます。まず,教師が自己肯定をし楽しんでいること。そうでないと子供にはなかなか伝わりません。残念ながら,須磨や垂水の事案を見ると,今までの研修が役立っていなかったと言わざるを得ません。現在の研修についての見解をお伺いいたします。

山下教育委員会事務局総合教育センター所長 今御指摘いただきました第3次教育振興基本計画についてですけれども,実はその指標の令和元年度の項目の中で,子供自身は自分によいところがあるというふうに自己評価しているものが全国値よりは高いんですけれども,それを先生が認めてくれていると思いますかというのは,全国に比べて低いという感覚がありまして,それについては非常に危機感を持っているところでございます。
 御指摘の研修でございますけれども,自己肯定感を高める関係性においては,子供同士の関係と教師と子供の関係があると思います。私どもの研修におきましては,子供同士の関係において自己肯定感を高めるという趣旨で,スキル演習というものを実践しておりまして,これは総合教育センターで行ったグループエンカウンター等の研修を各学校で広めていくという形ですけれども,これに関しては一定子供同士の中でお互いの自己肯定感が高まるという成果が上がってきているというふうに考えてございます。
 もう一方ですけれども,教師と子供の関係性についてでございます。これにつきましては,現在,自己肯定感ということで研修を強く進めているというところではございませんけれども,今,御指摘のとおり非常に大事な観点でございますし,なお今後,例えば先ほど御答弁申し上げたデジタル教材なんかが入ってきて,AIが問題やったときに,間違ったときに,あなたは駄目なので1つ前の学年の問題をしなさいなんてことになると,本当に自己肯定感が崩れてしまいます。これからの時代を考えると,まさに教員が子供の自己肯定感を支えるような視点で子供に寄り添うということが,非常に大事になってございます。
 併せて,先生御指摘のとおり,教員も含めて温かい人間関係の中で,互いが尊重し合いながら自己肯定感を高め合いながら暮らしていくということが,非常に大事になってございますので,そういった視点をこれからの研修に取り上げながら,互いの自己肯定感が高まるような取組を進めてまいりたいというふうに考えてございます。


 その研修ですが,個人個人に合った研修でないと,多忙な教員にとっての時間の無駄にしかならないです。なので,研修の見直し,そして移動がなくても済むオンラインでの研修などを御検討お願いしたいと思うんですけど,その辺りはいかがでしょうか。

山下教育委員会事務局総合教育センター所長 御指摘のとおり,教員の負担をできるだけ増やさないという観点からも考えていきたいと思います。できるだけこの研修につきましては,実践を伴うことが非常に大事かと考えてございますので,そういった意味では一定の集合をかけることは必要かと思いますけれども,一方で負担を増やさないということも大事に検討してまいりたいと思います。さとう このコロナ禍で教員の働き方改革というのは非常に難しくなったと思います。ですが,次年度のためにも,切り離せる仕事はばっさりと切り離していただいて,その中でも必要を見極めて,現場に寄り添った働き方改革を提案していただきたいと思います。