災害時の要援護者
令和3年決算特別委員会第2分科会〔2年度決算〕(消防局等) 2021-09-08質疑
「阪神・淡路大震災の想定震度は5強でした。災害は想定を上回る。それは阪神・淡路の最大の教訓だったはずだ。」この言葉は,神戸市が85年に設けた地震対策部会にて地震対策編を編むため,専門委員として学者を取りまとめる役をされ,5強で被害想定をされました,現在関西学院大学総合政策学部教授,神戸大学名誉教授,室崎益輝氏の言葉が胸に染み入ります。
さとう 災害は起こるものと,そう思うことで防災・減災は可能となります。自助・公助・共助の取組では,この備蓄に関しては,経済観光局と連携をさらに深めていただき,民間企業等に協力をお願いしていただくよう要望いたします。
また,避難所と,その避難の備蓄とか,そのテントというのが距離があったりするときもありますので,できましたら避難所にあるほうが,もういざというときに──もし道とかが壊れているとどうしようもありませんので──望ましいと思いますので,また検討をお願いいたします。
次に,妊産婦や重症心身障害者への宿泊費助成についてお伺いします。
妊産婦や重症心身障害者がホテルに避難する際の宿泊助成費について,8月19日において,27件92名の登録があると聞いております。制度の対象となる方々が避難をためらうことのないよう,引き続き周知を行い,登録者数を増やしていくことが重要と考えますが,御見解をお願いします。また,要援護者という意味で,高齢者も制度の対象に含めていくべきだと考えますが,併せて見解を端的にお伺いいたします。
福井危機管理室長 妊産婦や重症心身障害者・児の宿泊助成についてお答えいたします。
コロナ禍での災害時避難場所としてホテルを選ぶ方が出てきておりまして,実際,この7月・8月の大雨につきましては,避難情報発令の際に,妊婦の方と乳児養育中の方,計4件,13名にこの制度を利用していただいております。本制度は多くのメディアに取り上げられまして,広報紙への掲載,子育て応援サイト「ママフレ」登録への紹介など,様々な場面で周知に努めてまいりました。また,重症心身障害者児につきましては,個別に案内も郵送しておりまして,その周知を図っております。
今年度,従前の周知に加えまして,この8月からは,妊娠を届け出た方に窓口でリーフレットも配布しております。さらに,昨年対象者であった1歳未満の乳児の方につきましても,引き続き今年度も利用可能としておりますし,そして,この6月には,宿泊施設の対象をこれまでの市内のみならず,隣接市町にも広げております。今年度の実績を踏まえまして,北区・西区以外の洪水浸水想定区域への対象拡大も検討していく予定でございます。そして,周知活動の結果,昨年度は19世帯68名であった登録者数が,現在,29世帯99名と増加しております。
今回,高齢者も対象にという御意見ですが,本助成制度は,コロナ禍における避難者の集中を分散して,避難が不安な方への安心を確保することを目的としておりまして,妊産婦及び重症心身障害者・児を対象としておりますので,災害時の要援護者につきましては,令和元年度に神戸市における災害時要援護者支援のあり方検討会で議論されておりまして,高齢者のうち支援の必要性が低い方に関しましては,緊急避難場所での受入れを想定しております。また,状況に応じて分散避難や在宅避難などの適切な行動を取っていただければなと思っております。また,介護など配慮の必要な高齢者につきましては,利用施設へのショートステイや緊急避難場所への福祉スペースの活用,基幹福祉避難所等への利用を想定しておりまして,本制度の対象には,高齢者の方々は現在のところ含めておりません。
以上でございます。
さとう ありがとうございます。これ非常にすばらしい制度だと思いますので,特に妊産婦助成は,制度自体を知らない方がもしかしたら多いのではないかと思います。例えば妊娠初期の方や検診にちょっとまだ行かれてない方など,広報ツールの拡張は必要だと思いますので,どうぞそのあたりもよろしくお願いいたします。
次に,最後になりますが,阪神・淡路大震災クラスの大規模地震への備えについてお伺いいたします。
今,まさに阪神・淡路大震災クラスの大災害が起きたとして,要援護者も含む1人1人の命を救うために有効なシステムがあるか,それを周知できているか,見解をお伺いしたいと思います。
また,2次災害,3次災害を防ぎ,女性や子供に対する犯罪を防止するような避難所運営ができるのか,御見解をお伺いいたします。
福井危機管理室長 高齢者,障害者などの災害時の要援護者の方々の避難行動については,先日の本会議で副市長のほうから御答弁があったとおりでございまして,今後とも,神戸市における災害時要援護者支援に関する条例に基づきまして,引き続き市民,地域への働きかけを進め,要援護者支援の充実に努めたいと考えております。
女性や子供に対する犯罪の防止をする避難所運営につきましては,女性と男性が災害から受ける影響の違いなど,十分配慮された女性の視点での対応が必須だと考えております。令和2年5月,国では災害対応力を強化する女性の視点,男女共同参画の視点からの防災復興ガイドラインを策定しまして,女性の視点を取り入れるなど,基本方針を示しております。
神戸市地域防災計画におきましても,災害時にスムーズな避難所運営を行うことを目的といたしまして,平成31年3月,神戸市避難所開設運用マニュアルを策定し,女性や子供への被害を防止するため,プライバシーに配慮したレイアウトの工夫であるとか,入浴・洗濯時のルールの徹底,防犯に関する注意喚起などを明記しておりまして,警察とも連携した体制の構築を求めております。このマニュアルの活用につきましては,区,地域によって事情が異なりますので,各区で避難所運営について議論しながら,必要に応じて改定するなど,独自のマニュアルの作成が進められております。
また,現在,新たに警備会社と災害時における警備業務等に関する協定を締結いたしまして,避難所開設時には警備員による巡回警備の実施ができるように,現在,準備を進めております。
災害時に避難所,緊急避難場所が開設された場合,昨年の熊本豪雨災害の際には派遣され,また,避難所運営を経験した女性職員からもヒアリング等を行い,神戸市のネットモニター等も活用しながら,女性の視点を取り入れた避難所運営が行えるように,今後とも研究していきたいと思っております。
私からの説明は以上でございます。
さとう 大規模で多発的な災害となりますと,やはり先ほどの防コミとかの連携が必要となってまいります。そのあたりもよろしくお願いいたします。
最後に「阪神・淡路大震災の想定震度は5強でした。災害は想定を上回る。それは阪神・淡路の最大の教訓だったはずだ。」この言葉は,神戸市が85年に設けた地震対策部会にて地震対策編を編むため,専門委員として学者を取りまとめる役をされ,5強で被害想定をされました,現在関西学院大学総合政策学部教授,神戸大学名誉教授,室崎益輝氏の言葉です。弱者をさらに弱者にするのが災害です。2次災害,3次災害におきまして,また,東北や熊本などの事案を共有していただき,ソフト面での実行力のある具体策をぜひ御一緒に考えていくことができたらと思いますので,どうぞよろしくお願いいたします。